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【完全ガイド】DifyをLinuxサーバーに簡単インストール – 初心者でもできるAIプラットフォーム構築法

KAN YOSHIDA

はじめに:Difyとは何か

Dify(ディファイ)は、オープンソースのLLMアプリケーション開発プラットフォームです。LangChainのようなフレームワークとChatGPTのようなプロダクトの機能を組み合わせ、AIアプリケーションの開発と運用を簡単に行えるように設計されています。

Difyを使えば、プログラミングの知識がなくても:

  • カスタムAIチャットボットの作成
  • ナレッジベースを活用したQ&Aシステムの構築
  • 文書要約・分析ツールの開発
  • その他、多様なAIアプリケーションの構築

が可能になります。また、組織内で独自のAIアプリケーションを展開したい企業にとって、データのプライバシーとセキュリティを確保しながらAI機能を実装できる理想的な選択肢です。

本記事では、自社サーバーにDifyを簡単にインストールする方法を詳しく解説します。

インストール前の準備

サーバー要件

Difyを快適に動作させるには、以下のシステム要件を満たすことをお勧めします:

  • OS: Ubuntu 20.04 LTS以上(本ガイドはUbuntuベース)
  • CPU: 4コア以上
  • メモリ: 8GB以上(推奨16GB)
  • ストレージ: 50GB以上(推奨SSD)
  • ネットワーク: 安定したインターネット接続

ドメイン設定(HTTPS版の場合)

HTTPS版でインストールする場合は、事前に以下の準備が必要です:

  1. 有効なドメイン名の取得(例:dify.yourdomain.com)
  2. DNSレコードの設定(AレコードでサーバーのグローバルIPアドレスを指定)
  3. ポート80と443がファイアウォールで開放されていることの確認
# ファイアウォール設定の確認と開放(必要な場合)
sudo ufw status
sudo ufw allow 80/tcp
sudo ufw allow 443/tcp

簡単3ステップでのDifyインストール手順

Difyのインストールは非常に簡単です。以下の3つのコマンドで完了します:

curl -o install_dify.sh https://artjunkie.co.jp/dify/install_dify.sh
chmod +x install_dify.sh
sudo ./install_dify.sh

これらのコマンドを順番に実行すると:

  1. インストールスクリプトをダウンロード
  2. スクリプトに実行権限を付与
  3. スクリプトを実行(root権限が必要)

インストールプロセスが開始すると、以下の選択肢が表示されます:

Difyのインストールタイプを選択してください:
1) HTTP版 (IP アドレスベース)
2) HTTPS版 (ドメインベース)
選択 (1 or 2):
  • HTTP版: 開発環境や社内テスト環境向け。IPアドレスでアクセス。
  • HTTPS版: 本番環境向け。ドメイン名が必要で、SSL証明書が自動で取得・設定される。

HTTPS版を選択した場合は、ドメイン名とメールアドレス(SSL証明書用)の入力を求められます。

インストールには約5〜15分程度かかります(サーバースペックやネットワーク速度により異なる)。

インストールスクリプトの詳細解説

インストールスクリプトは以下の処理を自動的に行います:

  1. システムアップデートと必要パッケージのインストール
    • システムの更新
    • 必要なパッケージ(Git、Docker、SSL関連)のインストール
  2. Dockerのインストールと設定
    • Docker環境の構築
    • Dockerグループへのユーザー追加
  3. SSL証明書の取得(HTTPS版のみ)
    • Certbotを使用したLet’s Encryptからの証明書取得
  4. Difyリポジトリのクローンと設定
    • 公式GitHubリポジトリからのクローン
    • 環境設定ファイルの準備
  5. 環境変数の設定
    • HTTP/HTTPS対応の環境変数設定
    • APIエンドポイントの構成
  6. データディレクトリの準備
    • 各種データベース用のボリューム作成
  7. Dockerコンテナの起動
    • Docker Composeによる複数コンテナの一括起動
  8. メンテナンス用スクリプトの作成
    • 自動起動設定
    • トラブルシューティング用スクリプトの準備

HTTP版とHTTPS版の違い

機能HTTP版HTTPS版
アクセス方法IPアドレスドメイン名
セキュリティ暗号化なしSSL/TLS暗号化
証明書管理不要自動取得・設定
用途開発・テスト環境本番環境
追加設定最小限ドメイン・メール設定

初期設定と管理画面へのアクセス

インストールが完了すると、以下のようなメッセージが表示されます:

=== インストール完了 ===
ブラウザで http://YOUR_IP_ADDRESS または https://YOUR_DOMAIN にアクセスしてください
インストール設定画面(/install)で初期設定を行ってください。

注意事項:
1. ブラウザのキャッシュをクリアしてからアクセスしてください
2. サーバー再起動時は自動的にDifyが起動します
3. 手動で起動する場合は /home/webmaster/start_dify.sh を実行してください
4. APIエンドポイントの問題が発生した場合は /home/webmaster/fix_api.sh を実行してください

初回アクセス時は、管理者アカウントの設定画面が表示されます:

  1. 管理者メールアドレスとパスワードを設定
  2. オプションで組織名を入力
  3. 利用規約に同意

設定完了後、ログイン画面が表示されるので、設定したメールアドレスとパスワードでログインします。

トラブルシューティング

APIエンドポイントの問題

Difyでは、フロントエンドとバックエンドのAPI通信が正常に行われない場合があります。この問題が発生した場合は、提供されているfix_api.shスクリプトを実行してください:

sudo /home/webmaster/fix_api.sh

このスクリプトは、環境変数を再設定し、Dockerコンテナを再起動します。実行後、ブラウザのキャッシュをクリアしてから再度アクセスしてください。

起動・停止の方法

Difyサービスを手動で管理する場合:

# 起動
sudo /home/webmaster/start_dify.sh

# 停止
cd /home/webmaster/dify/docker
sudo docker compose stop

# 再起動
cd /home/webmaster/dify/docker
sudo docker compose restart

セキュリティ対策

Difyを安全に運用するためのセキュリティ対策をいくつか紹介します:

  1. 定期的なアップデート
  2. ファイアウォール設定 必要なポート(80, 443)以外は閉じておくことをお勧めします。
  3. SSL証明書の自動更新確認 Let’s Encryptの証明書は90日間有効です。自動更新が正しく設定されているか確認しましょう。
  4. 定期的なバックアップ 重要なデータは定期的にバックアップを取ることをお勧めします。

よくある質問

Q: サーバーを再起動すると自動的にDifyは起動しますか?

A: はい、インストールスクリプトによってcronタスクが設定されるため、サーバー再起動時に自動的に起動します。

Q: Docker Composeがインストールされていないというエラーが出る場合は?

A: 最新のDockerではDocker Composeが統合されています。古いバージョンを使用している場合は、以下のコマンドでインストールしてください:

sudo apt update
sudo apt install docker-compose-plugin

Q: Difyのアップデート方法は?

A: 以下のコマンドでアップデートできます:

cd /home/webmaster/dify
git pull
cd docker
sudo docker compose down
sudo docker compose up -d

失敗する場合はこちらに用意しているアップデート用のシェルスクリプトをご利用ください。

Q: データベースのバックアップ方法は?

A: 以下のコマンドで各種データをバックアップできます:

cd /home/webmaster/dify/docker
sudo docker compose exec postgres pg_dump -U postgres -d dify > dify_backup.sql

Q: インストール後にHTTPからHTTPSに変更することはできますか?

A: 可能ですが、再インストールをお勧めします。データのバックアップを取った上で、インストールスクリプトを再実行してください。

まとめ

本記事では、Difyのインストール方法を詳しく解説しました。オープンソースのAIアプリケーション開発プラットフォームであるDifyは、低コードでカスタムAIアプリケーションを構築できる強力なツールです。

インストールスクリプトを使えば、技術的な知識がなくても簡単にサーバーにDifyを導入できます。HTTP版(開発環境向け)とHTTPS版(本番環境向け)の2つのインストールオプションがあり、ニーズに合わせて選択できます。

Difyを活用して、独自のAIチャットボットやナレッジベースQ&Aシステムを構築し、ビジネスや組織のAI活用を加速させましょう。


著者情報:本記事は、AIアプリケーション開発の専門家によって作成されました。最新のAI技術とオープンソースツールを活用したソリューション開発に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

更新日:2025年3月15日

タグ:#Dify #AIプラットフォーム #オープンソース #Docker #インストールガイド #LLMアプリケーション

ABOUT ME
株式会社アートジャンキー・吉田 観
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代表取締役
1974年に岡山県で生まれ、明治大学政治経済学部を卒業後、IT関連業務やWEB制作会社での経験を経て、2002年に米国法人artjunkie, inc.を設立しました。 その後、日本法人を設立し、アートやデザイン、IT、AI、飲食など多岐にわたる分野で活躍しています。
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